退職・中途採用も増えている電力会社の労働環境
世の中では、電力会社はまったり高給というイメージが先行しています。「電力会社は半分公務員のようなものだし、仕事も楽なのだろう」「電力会社は地域全体が客だから安定盤石の殿様商売だ」ということで、安定志向の学生の就職も多いです。しかし、実際に就職してみたらわかることなのですが、はっきりいって、電力会社は楽じゃありません。話はそれますが公務員も楽ではないです。というわけで今回は、電力会社の労働環境を語ります。(ちなみに私は発電現場系の大卒社員です。)
電力会社の給料
震災前後でやや変動が大きくなっていますが、平均年収は750万円程度と言われています。
ぶっちゃけますと、私は30歳前後で年収500万円ぐらいです。悪くないじゃん・・・!と思われがちですがかなり残業・宿直による底上げが含まれているのが実態です。とはいえ特段悪くもなく、至って普通という感想です。若い間は、高卒と大卒での給与の差があまりありません。(年をとった後の話は正直わかりませんが)同じ年齢の高卒の先輩と給料を比較したことがあるのですが、ほとんど金額に違いがありませんでした。高卒で就職するのには良い会社と言えるのかもしれません。
電力会社の勤務事情
これは、部署やチームによります。例えば火力や原子力の現場勤務は2or3交代になる可能性があります。水力や配電部門は宿直ありの不定休フレックス勤務の可能性が。系統や給電の運用屋になれば3交代勤務の可能性があります。一方で、事務系であれば基本土日休みのフレックス勤務となります。言えることは技術屋は若いうちは土日休みとはならないでしょうし、交替勤務になる可能性があります。なお休暇は推進されており、忙しい時期じゃなければ取りやすいです。ただし、部署によっては周りの様子をうかがいながらでないと取りづらい部署もあります。
電力会社はブラック企業?
これは、「ブラック」の定義によりますが、忙しいのは間違えありません。ただし、コンプライアンスにうるさい会社だけあって、労働基準法に違反するような労働は”基本的には”ありません。ただし、このあたりは上司による所が大きいです。”ブラック部署”や”ブラック上司”に捕まると、「○○やってけよ、でも残業するなよ」という矛盾した指示がくることも。(他部署にいた友人に聞いた話)また、仕事以外にやることがない”ブラック平社員”が実は恐ろしい。こういう人は、趣味もなく、休みの日はパチンコしかすることがありません。そして、暇を持て余しているのでサービス残業に巻き込んできます。「おまえ、これやらずに帰るってことはないよな???」上司は帰ってしまっていて残業の許可がもらえずサービス残業をする羽目に。(これは私の実体験)
まぁ、要するに”運”といえます。
電力会社の技術系社員の人柄
これは完全に主観なのですが、現場は”体育会系”が多数派です。上の人は、理屈よりもとにかく動くこと!やる気元気!な人が多いです。人によりますが、罵声もよく飛び交います。ときには暴力も。(入社年次が浅い人はそうでもないですが)手痛い失敗をしないようにしつつも、速やかに行動できる人が求められます。若手は最初、現場に配属される確率が高いので覚悟しておきましょう。また、現場は高卒天下で、本社や系統屋は大卒が多いです。(主観)
非常災害時の復旧作業
これはインフラを担う企業の宿命です。電力の安定供給のためには、当然の義務とも言えます。(近年の某エネ事業者は土日祝日対応不可としていた例もあるようですが)プライベートよりも優先され、危険度も高い、長時間の対応もあるというわけで労働としてはブラックなので一応記載しておきます。個人的にはやりがいがあって楽しいです。ただ、これで本来やる業務ができなくともその分は誰もやってくれません。結局後日、残業ラッシュでつじつま合わせをすることになります。これが辛いです。
逆風吹き荒れる電力業界で
電力会社は長年安定と言われ続けていたようですが、震災から電力システム改革まで、逆風が吹き荒れています。特に現場職では、まったり高給を夢見て就職した若者たちが、思い描く理想とは大きく異なった体育会系職場とのギャップに耐えきれず退職してしまうというパターンが私の周りでかなり多いです。その分、現場職を中心に中途採用枠も増えてきています。電験保有者は採用してもらえる可能性もより高まるでしょう。体育会の雰囲気がそこまで苦手でないならばトライしてみては。
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