電力会社に関する書籍紹介~電力会社のおしごと~

電力会社に関する書籍紹介~電力会社のおしごと~

こんばんは。イルカです。

久しぶりに実家に帰り本棚を掃除していると、「電力会社のおしごと」という本がでてきました。昔すぎてどういう経緯でこの本を手にしたのかも忘れてしまったのですが、なんとなく読み返してみると電気新聞の本らしく各社をしっかり取材、整理した読みやすい書籍です。各部門のしごとの特徴などがわかりやすく整理されていたため紹介してみます。

ただし、発送電分離前の情報が中心でありやや古いです。とはいえ分離後も各部署の役割等は変わっていないため、仕事内容としては参考になるかと思います。

詳しくは書籍を手にとってみていただければと思います。勝手に一部補足しておりますが、加筆修正などございましたらコメントいただけますと幸いです。

よその部門についてはあまり詳しくないというのが正直なところです。特に事務屋の知人が少ないのですがご了承ください。

概要

この書籍では、電力会社のしごとを以下の6つの分類に分けて説明しています。

  1. 電気をつくるしごと
  2. 電気を届けるしごと
  3. 電気を販売するしごと
  4. 地域とつながるしごと
  5. 経営に関わるしごと
  6. 新しい分野に挑戦するしごと

電気をつくるしごと

電気をつくるしごとといえば、文字通り発電です。以下の部門の紹介が記載されています。

  1. 火力発電
  2. 水力発電
  3. 原子力発電
  4. 燃料調達部門
  5. 原子燃料サイクル部門

技術系は火力水力原子力(再エネ)、事務系は燃料調達部門に関わってきます。

技術系のどの部門も大きな括りでいうと発電所の運転管理・建設が仕事です。それぞれ重要度が異なりますが、安定供給に直接的に関わってくるため、設備トラブルのないよう細心の注意を払って業務に取り組んでいます。

また、事務系の燃料調達部門は文字通り燃料の調達を行う部署です。日本は資源のない国であり、またリスク分散の意味でも調達先は多岐にわたります。言語力や交渉力が試される職場といえるでしょう。

また、本書には記載ありませんが、近年では再生可能エネルギー関係の部署(会社)を有する会社も多数存在しています、水力は再生可能エネルギーということで、再エネ部門の一組織とされている会社も増えてきていますが、開発は太陽光や風力、バイオマスが中心です。電力会社としてもカーボンニュートラルの実現に向けて注力しているところです。

原子燃料サイクル部門は身近に知り合いがいないためよく知りません、すみません

電気を届けるしごと

こちらは送配電会社のしごとになります。発電された電気は、途中変電所を通過しながら適正な電圧にて送電送電され、お客様のもとへお届けされます。絶えず電気を送り続けることが使命です。なお、すべて技術系部門です。

  1. 送電部門
  2. 変電部門
  3. 配電部門
  4. 系統運用部門
  5. 電子通信部門

送電部門は文字通り、送電線の保守、修理、建設等を担う部署です。最近ではFITの影響から再エネ発電所が急増、そのうち大規模発電所(送電線連系の規模)系統接続のための送電線工事対応などの業務が増えてきているようです。

変電部門もまた文字通り、変電所の保守、修理、建設等を担う部署です。

配電部門は、配電線からお客様へお届けするまでの保守やお客様対応、工事等を担う部署です。そのため、安定供給への意識は人一倍です。災害時には速やかに現場へ駆けつけ復旧を行います。

系統運用部門は、先に述べてきた送電線や変電所等を運用管理する部署です。事故発生時には迅速な復旧を図ります。また、中央給電指令所ではエリアの需給管理を行っています。需給バランスは周波数に影響し、最悪の場合ブラックアウトにつながるほか、いわゆる電気の品質にも関わってきます。

発送電分離に伴い、小売側に需給管理を行う部署も設置されています。

電子通信部門は通信網を取りまとめる部署です。電力会社は自前の通信網を持っており、保守や建設、運用を行っています。

電気を販売するしごと

大規模法人から皆様のご家庭まで、あらゆるお客様との接点となる部署が営業部門です。

  1. 営業部門

営業部門、とひとくくりに記載しましたが、先に記載したとおりお客様は多岐に渡ります。業務としては、既存のお客様への対応、いわゆるコールセンターや技術的な相談窓口のような部署や、一般的な会社でいう営業のような自社電力の販売促進を行う部署があります。

地域とつながるしごと

社会という意味での地域と、また物理的な土地という意味での地域と関わり合う仕事です。

  1. 用地部門
  2. 立地部門

用地部門は変電所や送電線等、土地の確保を行う部署です。土地所有者との契約交渉や自治体等との手続きを行います。特に送電線は跨がる範囲が広いため、地域の皆様にご理解いただけるように活動し、また契約や用地を管理することが仕事です。

立地部門は発電所の立地に係る部署です。発電所を建設するとなると広大な敷地が必要となるほか、水力では河川利用者等の、火力や原子力では海の利用者等の皆様との共生が重要となります。権利者の皆様や自治体・国等との交渉はもちろん、地域の皆様にご理解いただくための活動も重要な仕事です。

立地部門は発電、用地部門は送配電というイメージです。正直あまり詳しくは知らないのですが・・・

経営に関わるしごと

経営に関わる、との記載ですが、上記に分類されないその他の部署がまとめてピックアップされているような印象です。

  1. 企画部門
  2. 環境部門
  3. 広報部門
  4. 資材部門

企画部門はどの会社でも共通しているかと思いますが、会社の舵取り役である経営層をサポートするのが仕事です。広く情報を収集し、中長期的な計画をたてて実現に向けて全体を管理していきます。

環境部門は、文字通り環境を取り扱う仕事です。電力会社ではCO2の問題が大きいため、会社全体として環境保全を行っていく必要があります。

広報部門はマスメディアへの対応を行う部署です。

資材部門は資機材を調達するにあたり交渉の前面に立つ部署です。少しでも安く調達するために絶えず市況動向を追いかけ価格の精査・交渉につとめています。

新しい分野に挑戦するしごと

最後に、新しい分野に挑戦するしごとです。特に近年、「電力会社は電気を売っているだけではだめ」とまで言われるような情勢となってしまっており、こうした部署から新しい市場を開拓していくことになります。

  1. 技術開発部門
  2. 国際部門
  3. 新規事業部門
  4. 情報システム部門

技術開発部門は、主に既存の電力事業を柱とした収益性向上や新たな市場の拡大を目指した技術開発を行う部署であり、業界としての課題解決に取り組んでいます。

国際部門は海外への事業開拓を行う部門です。特に近年は電力需要の伸び悩みや先行き不透明な電源情勢から、特に海外でも通用する電力技術を有する大手会社は海外への事業拡大を行っています。

新規事業部門は、自社の強みを活かしつつも電力以外の新しい分野へ挑戦する部門です。

情報システム部門は自社のシステムを維持・管理・開発する部署です。

ユーザビリティの高いシステムを開発してほしいものです。

部署に関する主観

電力会社は多様な部門を抱えています。この部門に入りたい!という希望があるのであれば、面談の場などで伝えればそれなりに叶うものというのが自身の経験則です。あれもこれも、よりはぜひこの部門に、と伝えることをおすすめします。(一方で、企画部門のように経験を重ねた上での配属となるような部門もあります。)

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