ダム放流が本当に不適切だったのか
先日の西日本豪雨では、各地が大きな被害を受けました。
一部の地域では河川の氾濫が発生していました。
この際のダム操作についてマスコミを中心に疑問の声が上がっています。
大雨、台風時のダム運用、操作は瞬間ごとに適切な判断を下していく
必要があり、管理人も関わったことがありますがかなり難しいものです。
これらを踏まえて管理人の意見を書いてみます。
(あくまで個人の意見です。)
ダム運用を批判するマスコミ
下記のような記事が新聞各紙に見られます。
マスコミは、足並みをそろえてダム運用を批判しています。
特にこの記事はかなり強気な批判をしています。
残念ながら、自然災害は住民は不満やストレスはぶつける先がありません。
そうして行き場を失った怒りの矛先にマスコミはダムの運用を選び、
ダムの運用への不信感を煽る報道を行っています。
マスコミに誤解を煽られた結果・・・
住民説明会で怒号!「土下座しろ」「殺人ですよ」
誰かの責任にしたくなるという気持ちもわかりますし、
第三者だからこその意見だというのもわかります。
ですが、ルールに則った操作をした操作員を責めるのは酷です。
未経験の記録的豪雨という自然災害なのです。
治水(洪水調節)について
わかりやすい漫画
twitterにわかりやすい漫画を投稿されている方がいらっしゃいます。
【ダムマンガ特別編】ダムにできることとできないこと pic.twitter.com/hVGkygR1bE
— 井上よしひさ3日目東エ46a (@poniponipony) 2018年7月13日
漫画は、視覚的に情報を理解できるので良い伝達ツールですね。
グラフによる説明
漫画の右下に書かれていた図(極端に書いてしまいましたが)で説明します。
赤色が放流量で、黒色が流入量になります。
ダムがなければ、本来河川に流れ込むはずだった流量も黒色になります。
また、ダムが実際に放流した量が赤色です。
注目は、黄色の斜線部分です。この分、ダムが水を貯めているのです。
これにより、図の水色の a から b までの時間、河川への放流量を抑えて
ダム下流の住民が避難する時間を確保しているというわけです。
この間に警報やサイレン等で避難を促すわけです。
また、図のbのような流入量=放流量となる放流を行うのは
「但し書き放流」と呼ばれる放流となっています。
ダムの洪水調節機能の限界を迎えた際には、但し書き放流により
ダム流入量=ダム放流量 となるような操作が行われます。
野村ダムのハイドロ
さて、これまたツイッターにて野村ダムのハイドロを作成されている方が
いらっしゃいました。
野村ダム、7月5日AM1時から7月8日AM10時までの流入量、放流量、水位のグラフ。
水位については、6日以前のデータを拾えなかった。貯水率表示になるので、載せていない。 pic.twitter.com/HGp2A4KOzg— めり (@merihiko) 2018年7月15日
グラフを見ると分かる通り、大雨を予見した事前放流もなされています。
また、流入量を上回る過剰な放流も見られず、操作に問題はありません。
(一時的には上下することもあります。)
管理人としては「操作員の過失による人災とは言えない」と考えます。
ダムの運用面について
「より多く事前に放流をしておくべきだった。」
「放流量をもう少しなだらかに上昇させるべきだった。」
という意見はあるでしょうし、検討の余地があります。
ただこれは、操作員の過失であるとは言い切れません。
「記録的豪雨時の流入量の予測」や「流入量のピーク時刻の予測」
といった予測技術面による最適なダム操作の追求は、
今後の同種災害を防ぐためにも重要となってくるでしょう。
こういった面は、AI分野やデータ分析技術の発達により
より正確な予測とダム運用が可能になってくると期待しています。
管理人のまとめ
やはり管理人は「操作員の過失による人災とは言えない」と考えています。
そして、今回の災害に限った話ではないのですが、
「日本人はなにかあれば現場の”人”を責める傾向にある」
ように感じられます。(海外がどうなのかは知らないのですが)
私はいつも、本当に責めるべきは”人”ではなく”ルール”や”システム”
であると考えています。
いますべきことは誰かに責任を負わせることではありません。
同規模の大雨に直面した際、今回の反省を活かした適切な対応ができる
ルール、システムを再検討することにあると思います。
私もまだ未熟なもので、意見やアドバイス等あればぜひコメントください。
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