調整力の確保について
電力広域的運営推進機関のサイトに、やや古いですが
分かりやすい資料がありましたので紹介します。
https://www.occto.or.jp/iinkai/chouseiryoku/2015/files/chousei_02_03_01.pdf
系統関係の知識は電験1,2種でも活かされる内容になります。
今回は、1~9ページにかかれている内容を中心に書きます。
需要と供給による周波数変化
需要と供給による周波数変化はよく天秤に例えられます。
発電過剰になると周波数は増加し、消費過剰になると周波数は減少します。
そのため、周波数を維持するためには”同時同量”を達成する必要があります。
「発電量 = 消費量」を目指すというわけです。
周波数管理値は60±0.2Hz、
運用目標値は60±0.1Hz以内(滞在率95%以上)としています。
周波数変動は電動機などに影響を与えるほか、
設計されている周波数から逸脱すると、機器の損傷にも繋がります。
また、過剰な周波数変動が発生すると北海道のような大規模停電にも
つながる可能性があります。
そのため、安定した周波数を維持することが電気の”品質確保”の一つ
といえるわけです。
調整力とは?
周波数を基準値以内の値で安定させるため、
需要に対して発電量を調整する能力を指します。
瞬間的な需給の変動による周波数変動への対応や、
計画外の設備停止や需要変動のような、長期の需給調整への対応など
多様な場面で異なる種類の調整力が求められているのです。
例えば?
- ごく短時間の調整力(秒単位):ガバナフリー運転
- 短時間の調整力(分単位) :停止水力、ガスや部分負荷運転発電機の余力
- 長時間の調整力(時間単位) :停止中の火力
ごく短時間、短時間の調整力についてはこちらをご覧ください。
管理人の意見
ここまでの説明から、電力の安定供給には調整力が必要である
ということがわかったと思います。
現状の太陽光発電の問題点は、調整力を有していないことにあります。
要は、他電源に依存している状態であるということであり、
現状の技術力で太陽光発電100%は現実的ではありません。
電気の価値を判断する際、発電”量”ばかりに注目されがちですが、
系統安定のための調整力も重要度が増してくることになるのです。
揚水発電の利用や蓄電池等の技術発展にも期待がかかりますが、
まずはFITのような補助金依存から脱するところで
主力電源の仲間入りを図ってほしいと思います。
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