“電源”の4つの価値
こんばんは。イルカです。
今回は、”電源”の価値についてです。
電源の価値は電気代みたいに量や値段で決まるの?
電力は、他にも品質が求められているんだよ。
家庭の電気の質は安定しているから気づきにくいね。
電源は、電力の安定供給を維持する役割も担います。
そのため、安定供給に貢献する能力という価値も持っているのです。
市場としては4種類の価値に分類されています。
経済産業省資料で学ぶ電源の価値
今回もまた、経産省の資料が見やすいです。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/pdf/005_07_00.pdf
これを見てわかるとおり、”電源”は4つの価値を持つといえます。
電力量(kWh価値)
これは、実際に発電された電力の価値です。量と単価で決まります。
売電収入(円) = 売電価格(円/kWh) × 売電量(kWh)
家の電気代と同じような考え方だね。
小売電気事業者は、電力量を扱う卸電力市場から調達します。
専門外の人にとって一番身近な価値でしょう。
(その他にもBL市場というものがありますが触れません)
電力価値(kW価値)
ここからがやや難しい話となります。
電力価値とは、“発電可能な電力”を表しています。
(例のごとく経済産業省の資料から引用しました)
この図でいうと、電源Eは稼働していませんので、
電力量としては価値がないことになります。
現状、電源Eのような電源は稼働率が低下、採算が取れなくなっており、
結果、限界費用の高い火力発電所を中心に休止・廃止が進んでいます。
しかし、果たして電源Eはいらないのかというとそうではありません。
上の図でいうと、需要が右側にシフトした際に発電可能な電源です。
電源Eのような稼働率の低い電源がなければ、
- 需給逼迫時の卸電力市場価格の高騰
- 需給逼迫時の需給調整が困難
といった問題が挙げられます。
稼働率が低い電源も、電力価格や系統安定に有益な電源なのです。
そこで、系統のために中長期的に必要な電源を確保するために
容量市場(kw価値を取り扱う市場)を導入する動きがあるわけです。
ただし、導入は2023年度の予定となっています。
それまでに需給が逼迫する可能性もあるため問題視されています。
また、新設電源は既設電源との競争に晒されるような制度だと
電源の新設は進まないのではないかという意見があります。
つまりどういうこと?
中長期的な供給力確保への貢献という価値であり、
容量市場によって対価が得られるという制度設計だよ
調整力価値(⊿kW価値)
⊿kWは、短時間での出力調整が可能であることの価値です。
調整力って何?という疑問に対しては、以下の記事を御覧ください。
ざっくり説明してよ
短時間の負荷変動に対する出力変動で
系統安定に貢献してくれる電源だよ
電力の品質の維持のためには調整力が不可欠というわけです。
市場としては、調整力公募が行われています。
また、需給調整市場が創設予定です。
環境価値
非化石燃料により発電する電源の環境貢献に対する価値です。
非化石価値取引市場により取引されています。
再生可能エネルギーによる電力を利用したい需要家のために、
その環境価値を市場にて取引するという仕組みです。
これを利用すると、CO2フリーな電源を使っているといえるわけです。
ちなみにFIT電源の環境価値の扱いについては以下に記しています。
https://denkiworking.com/fit電力の環境価値について/
つまりどういうこと?
FIT制度だと、再エネ賦課金を払う全需要家が
環境に貢献していることになるんだ。
逆に企業としては、非FITの再エネもしくは非化石証書を買って初めて独自に環境貢献していると言えるわけだ。
逆に僕らは再エネ賦課金で環境貢献してるわけだね!
制度が穴だらげふんげふん
最後に
自分はこのように電源価値について理解しているのですが、
かくいう私も20代の見習い電気屋さん、まだまだ知識も浅いです。
なにか誤りや助言、補足等あればぜひアドバイスください!
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