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H24年電験1種1次機械問1 三相ブリッジ回路

H24年電験1種1次機械問1 三相ブリッジ回路

今回も三相ブリッジ回路についてです。

前回の記事で学習した内容と類似しており、今回は、語句の問題です。

当てはめる言葉を覚えるというより、背景にある数理論を理解したいですね。

問題

H24年度1種機械 試験問題[PDF]

http://www.shiken.or.jp/answer/pdf/148/file_nm03/F1%28K%29.PDF

三相ブリッジ整流回路

回路の概要

ここは前回の記事と同様の説明になります。

(コメントに基づいて記事を修正しました。2018/6/29)

三相ブリッジ整流回路は上左の図のような回路です。

u,v,w相の三相交流の電圧、出力波形は上右の図のようになります。

一般的な三相交流200V電源です。

前回と異なる点として、今回は負荷が直流機になっています。

このような直流電動機の制御方式を、静止レオナード法と呼びます。

直流リアクタンスによりリプルの低減がなされています。

今回のサイリスタ変換器の回路では、

制御遅れ角を制御することで、直流電動機の速度制御をしています。

制御遅れ角はサイリスタのゲート電圧の遅れを表す角度です。

ちなみにuが重なり角です。

制御遅れ角が\(\alpha\)である場合、

出力電圧の平均値(電圧降下を考慮しない)は、

\(E_{d} = \frac{1}{\frac{\pi}{3}}\int_{\frac{\pi}{3}+\alpha}^{\frac{2\pi}{3}+\alpha} \sqrt {2} V sin\theta d\theta \)

\(= \frac{3 \sqrt{2} V}{\pi} cos \alpha \)

となります。

また、重なり角による電圧降下の平均値は、前回記事のとおり、

\(\Delta E_{d} = \frac{3}{\pi} \int_0^u X \frac  {dI_u}{d\theta}d\theta = \frac{3 X I_d}{\pi} \)

であるため、これらの式から、出力電圧の平均値は次の通りになる。

\(\frac{3 \sqrt{2} V}{\pi} cos \alpha – \frac{3 X I_d}{\pi} \)

直流電動機の速度制御

こちらは電験3種レベルで出題される話ですが、

直流電動機の回転速度は次のように表されます。

\(N = \frac{V_d – R_a I_d}{k \phi}\)

つまり、\(cos\alpha\)の制御をすることで出力電圧の平均値が変化し、

直流電動機の回転速度を制御することができるということです。

その他にも、電機子巻線抵抗や磁束を変化させる方法もあります。

ここで、直流電動機のトルクが増加するということは、

電機子電流が増加することになります。

出力電圧の平均値は下記の式で表されるため、

\( \frac{3 \sqrt{2} V}{\pi} cos \alpha – \frac{3 X I_d}{\pi} – R_a I_d \)

トルクが増加すると、速度は低下することになります。

回生制御

この問題のような回路では、電流は一方向にしか流れません。

つまり、制御遅れ角を制御するだけでは制動トルクは発生しません。

そこで、回生制動を行うため、界磁電流の方向を逆転させることで

誘導起電力を逆転、直流電圧を負にすることで回生制動を行います。

この時、サイリスタの制御遅れ角は90°以上となります。

負の起電力を発生させる際の角度については、誘導起電力の式が

コサインの式であることから想像できますね。

感想

2年連続で三相ブリッジ回路の問題がでていたようです。

やはり考え方を理解しておくべきだと感じます。

基本的な考え方さえ理解していれば、穴埋め問題の答えも想像が可能です。

三相ブリッジ回路は、出力電圧の平均値電圧降下、転流や制御遅れについて

理解して得点できるようにしたいです。

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