世界の再生可能エネルギーと電力システム 風力発電編紹介
特にtwitterやブログでも触れていませんでしたが、
先日のamazonのセールでなんと、kindle unlimitedが3ヶ月99円
という激安価格での提供となっていました。
迷う余地もなく即登録しました・・・!
残念ながら終了していますが、数ヶ月間隔でよく似たセールを
行っているので登録できなかった方も時折チェックすると良いでしょう。
登録しない理由がない安さだったので、
久しぶりに登録しましてめぼしい本を探した結果、
「送電線空き容量問題」(詳しくはこちら)で有名な安田先生の本が、
なんと一部無料になっているのを発見しました。
風車の耐雷設計や系統連系、再エネ関係の
経済や政策を専門とされている方です。
無料なのもあって、興味本位で読んでみました。
まだまだ知らないことも多いので、アドバイスや意見があればぜひ。
これからお盆休みを利用していろいろと本を読んでみます。
本書の概要
風力発電業界に興味がある方を引き込むのに良い本という印象です。
各項目にQ&Aが用意されているため、楽しく読むことができます。
最近読んだ、ファクトフルネスという本でもそうだったのですが、
「事実と思いこんでいる事柄について、真実を突きつけられる」
ということは印象に残りやすい体験であり、読者は引き込まれます。
以下に章の目次を紹介しておきます。
第1章:風力発電の技術動向
第2章:風力発電データの国際比較
第3章:洋上風車と風力発電の将来
第1章 風力発電の技術動向
執筆当初(2017年3月)の風力発電の基礎知識が記載されています。
風力発電は、近年特に技術進歩が著しいので、「執筆当初」ですね。
特に、電力業界に関する知識は多少あっても風力発電のことは
ほとんど知らないという人にとってわかりやすい内容と思います。
第2章 風力発電データの国際比較
- 日本は海外と比較し、風力の導入が進んでいないと伝える
- 風力発電に関するよくある誤解を解消する
ことがこの章の目的のように感じられます。
2章では、風力発電の国際比較を行ったデータが記載されています。
データ比較の重要性に関しては私も合意です。
理由をつけて比較から逃げるのは良くないと考えています。
本書では設備容量や電力量、面積等の比較が行われています。
日本では、海外と比較して風力発電の普及が遅いのが伝わります。
正直、日本はやたら太陽光に偏っている気がします。
太陽光はアセスが緩く、「環境に優しい」とはいったい
なんなのかと考えせられる発電所が多い印象です。
管理人の主観:風力発電普及を阻む障壁
ここからは私の主観ですので、興味がなければ飛ばしてください。
日本で風力発電の普及を阻む障壁は、以下のように考えています。
- 「日本メーカーの撤退」
- 「政治の姿勢」
- 「系統の制約」
日本メーカーの撤退
主観では、これが非常に大きいように感じられます。
日本の風車メーカーとして最近まで生き残っていた、
「日立」と「三菱重工」が、共に風車製造から撤退しています。
(三菱重工はMHIVestasとして洋上風力事業に出資していますが、
調達面を考えると、私の中では「デンマーク企業」という認識です。)
海外メーカーの場合、トラブル対応に必要な人員や資材の調達に
時間やコストがかかってしまう問題があり、リスクとなります。
日本と海外の商慣習の違いも気になります。(契約社会?)
また、雷や台風、地震等の特殊な日本風土に合わせた設計が必要
という点も問題でしょう。
世界の市場を相手にしている海外メーカーは
日本市場のためにそこまでするのでしょうか?
政治の姿勢
日本でも、洋上風力発電に関して再エネ海域利用法が施行され
政府も導入拡大に向けて動いているようです。
この先、地元利害関係者との調整の枠組みや、
環境評価手法の明確化等のルール整備が進んでいくと、
風力発電導入拡大に追い風となるでしょう。
現状は、これらが障壁となっているようです。
先日ニュースとなっていた促進区域の指定についても、
秋田と青森で明暗が分かれていたようで・・・。
系統の制約
現在進行系で議論されていますね。日本版コネクト&マネージ等。
不用意な系統の増強に対してはコストに合うか精査が必要ですが、
系統安定が確保された上での効率的な系統利用を探るのは賛成です。
あとは系統安定で求めるレベルについて認識を共有する必要があります。
これから先、系統がより上手く利用されていくことを願っています。
個人的に気になるというか、知識が不足しているところが、
パワエレの模擬慣性力(?)の制御機能についてです。
これについては興味があるので個別で勉強しなければと思っております。
第3章 洋上風車と風力発電の将来
日本の洋上風力のポテンシャルについてデータをもとに提示しています。
やはり東北地方や北海道に大きなポテンシャルを秘めています。
現状の洋上風力の計画もそれに応じたエリアが中心となっており、
日本でもこれから洋上風力の普及が進んでいくと考えられます。
ちなみに海外メーカーの日本での故障が多い問題については、
ルールメイキングの問題とされています。
最後の質問
最後の質問、私的には結構好きです。ネタバレはしませんが。
自分の分野に縛られず、広い視野を持って
知識を得ていきたいと思いました。
管理人の小言
さて、本書を読んで個人的に残念なところは、
「○○については○○(別の書籍)を参照」とされています。
全容を掴むために出版されている本をすべて読む必要があり、
お金のない若者にはなかなかつらいということです^ー^
3章では、私が一番気になっている台風や雷の問題について
少し触れられていますが、詳細は「経済・政策編」とのことです。
お金がある人は全部読むと、より著者の声が聞こえるでしょう。
とりあえず「再生可能エネルギーのメンテナンスとリスクマネジメント」
も無料だったので読んだらまた記事を書きたいと思います。
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