インバランスとは?
2019年問題の記事で、インバランスについて触れました。
そもそも、インバランスとはなんだろう?
という方のために簡単に説明します。
同時同量の原則
これまでの記事で説明してきたとおり、
電力の品質維持のためには、発電と需要は同量である必要があります。
そこで、発電事業者や小売事業者は、実受給の1時間前までに
発電計画や需要計画を提出する必要があります。
制度上、30分単位での同時同量が求められることになります。
インバランス
計画通りにいかなかった場合、
余剰分や不足分の料金を支払う必要があります。
それが「インバランス料金」です。
基本的にインバランス料金は予見しにくくなっており、
遵守することによるインセンティブがしょうじる仕組みとなっています。
なお、インバランス料金は、次の式で計算されます。
インバランス精算単価
=スポット市場価格と1時間前市場価格の30分毎の加重平均値×α+β
α:系統全体の需給状況に応じた調整項
β:各地域ごとの需給調整コストの水準差を反映する調整項
FIT電源のインバランス
ここまでの説明で、計画を遵守した発電を求められることがわかります。
一方で、FIT電源については特例が認められています。
発電計画は関係がなく、実際に発電した量がFIT価格で買い取られます。
非FIT再生可能エネルギーのインバランス
2019年問題の太陽光発電のような非FIT再生可能エネルギーは
特例による保護が失われているため、計画の遵守が求められます。
しかし、再生可能エネルギーは発電予測が困難です。
つまり、先に示したインバランスのリスクにさらされるのです。
このリスクを考えると、経済性だけで判断した場合
安定した出力を維持できる電源よりも安価になりうるのです。
あとは、2019年問題の記事で記載したとおりになります。
かつてはこんな事件も・・・
といいつつも、2016年に制度が改正したばかり。
2017年には、同時同量の原則を無視してインバランス料金を
払うほうが得になってしまうという状況が話題となった。
先の式のβの値がインバランス料金を決定づけていたのだ。
この値から、北陸は常に市場価格より安価なインバランス料金となっていた。
つまり、不足を前提とした需要計画を提出することで、
市場価格よりも安価な価格で電力を得られたのである。
逆に、東京では市場価格よりも高いインバランス料金となっていた。
これを利用して、実需要を上回る計画を提出していた。
自社の利益のために電力の安定供給を揺るがしかねない事態である。
自由化での秩序
これまでは電力会社に一任されていたが、
電力自由化により多様な事業者が業界へ参入してきた。
自社の利益のために他者を犠牲にするということはないよう、
多くの事業者が協力しあって電力の安定供給を確保していく必要がある。
不誠実な事業者には適正な評価を下していくことが必要だ。
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