非化石価値取引による環境アピールは不調
今年5月からJEPX(日本卸電力取引所)にて、
非化石証書と呼ばれる取引が開始しました。
今回は、この「非化石証書」について説明します。
非化石証書っていったいなに?
簡単に言うと、FIT電源のクリーンエネルギーとしての価値を
取引所にて販売するという仕組みです。
これを購入することで、購入者の利用するエネルギーは
CO2レス、クリーンなエネルギー源です!
とアピールできるようになります。
そして、売電収入はFIT賦課金の原資に充てられることとなっており、
再生可能エネルギー導入への国民負担を軽減するねらいがあります。
非化石証書の現状
しかし、現状ではFIT制度の穴を埋めるには至っていないようです。
約定率はわずか0.01%となり、期待される成果は得られていません。
こちらの記事になります。
非化石価値取引市場が初入札、約定量わずか/最低価格が壁に(1面)FIT電源の非化石証書の売り入札量500億kW時超に対し、約定量は515万5738kW時で、約定率は0.01%。FIT賦課金に充てることでの国民負担の低減効果はほぼなし。https://t.co/ml0CdJ8v1t
— 電気新聞 (@DenkiShimbun) 2018年5月21日
企業は環境対策へのやる気がないのか?
では、企業は環境対策へのやる気がないのか?
というと、そういうわけでもない。それは、不完全だからです。
例えば、事業に必要な電力を、100%再生可能エネルギーで調達する
「RE100」では、化石証書による調達が認められるかは未定です。
トレーサビリティの問題のためです。
現状では、再生可能エネルギーの種類等がわかりません。
まずはこの問題を解決した後、販売量と価格がどう変化するのか注目です。
また、最低落札価格が1.3円/KWhと定められていることにも
原因があると言われています。
管理人の意見
こういった制度、少しでも国民の負担を減らすという観点では
やらないよりはやったほうがマシではあります。
ただ、地球環境に関して言うと、
誰が再生可能エネルギーに対するお金を負担するかの違いだけの問題です。
実際にCO2削減に寄与するかは別問題です。
「非化石証書の制度があるから再生可能エネルギーの発電をしよう」
という事業者がでてきてはじめて環境価値があるのです。
例えば、2019年以降徐々に現れる非FIT(FIT切れ)の太陽光発電に対し、
「非化石証書による価値が得られるから発電設備を継続して運用しよう」
となれば制度は環境価値があるといえます。
まぁまだ過渡期です。今後の制度運用に注目しましょう。
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